人の命は、ひとしずくの露のように儚いものだと言われます。 しかし(故人が歩んでこられた)人生には、幾多の巡り合いがあり、 喜びや悲しみがあり、山や川や、また旅先に残された思い出もあります。 人生の綾は、多くの縁に彩られています。
本日、旅立ちの時を迎えました、故田中美子様。 享年82歳。 産声を上げられたのは、大正11年(1922年)。 そして人生という旅路を歩き続けた82年。 ひたすらに命を燃やし、出会いと別れを紡ぎ、一生を織り上げてきました。
大切にしていた言葉は、『一期一会』。 巡り合いや出会いの不思議さを良くご存知だった故人は、 今この時しかない、今の出会いを大切にされました。
しかし時の流れを押し戻すことは誰にも出来ません。 今日という運命の日が訪れたのです。 尊い故人のご生涯を振り返ります時に、 皆様方のお心内には様々な思い出がおありのことかと存じます。
故人は、国内外を問わず、家族、時にはご友人をも含めて、 何度も旅行に出掛けられておりました。 その旅先には、数々の思い出が残されていたことでございましょう。 そして、その思い出を大切に、生きてこられました。
今はただ、式壇中央で静かにほほ笑む故人…。 ご参列の皆様に、感謝と別れを告げています。 どうぞ皆様方、今は亡き故人に、それぞれの思いを馳せていただきながら、 これからの葬送のひと時、お心静かにお勤め下さい。 間もなく、開式でございます。
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